■犬の癲癇治療薬 | ||||
薬名 | 概要 | 副作用 | 備考 | |
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フェノバルビタール (フェノバール) |
犬猫とも最もよく使われる抗てんかん薬。 弱くて効き目の長い麻酔薬のひとつで、脳の興奮を抑える様に働く。 |
肝障害、過食、ふらつき、嗜眠、沈鬱、頻尿などの副作用を 持ち、特に長期にわたる治療においては、肝障害が深刻な問題になる。 |
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A ジアゼパム (ホリゾン、 セルシン) |
持続的な管理に使う薬ではなく短時間のうちに効果を表し、短時間のうちに体内から排出される薬。猫でよく使われる。犬では群発発作や発作重積の時に使用。 今、発作が起こっているというときにとても役に立つ薬。翌日には効果が切れるため、 いざという時のために、頓服として手元に置いておきたい薬。 |
まれに猫で強い肝障害を引き起こす。 | 家庭では座薬として使用することが多い。 犬で長期的な連続使用をすると耐性ができやすい |
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B 臭化カリウム | 犬でよく使用。他の抗てんかん薬と併用することが多い。フェノバルビタールと併用すると、フェノバルビタールの使用量を減らすことができるので、その副作用を押さえることができる。さらに、軽い症状であれば、臭化カリウム単独でも発作を押さえることができるので、その利用価値は広がっている。効果が長く続くので1日1回の投与も可能 | 主に腎臓から排泄され肝臓には負担がかからないため肝障害は少ない。鎮静、多飲多尿はフェノバルビタールと同程度。嘔吐、下痢。血中濃度が高くなると四肢の衰弱、硬直、運動失調が出現。猫ではまれに肺炎になるため、猫での投与は推奨されていない。 | 食事中の食塩の量により薬の体外への排出量が変わるため一定の血中濃度を 維持するために食事およびおやつの食塩量を一定にしなければならない。 フードの変更や点滴等にも注意が必要。 試薬(医療承認のとれていない薬剤)として出ているものを調剤して利用する。 |
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C プリミドン (マイソリン) |
体内に入ってから代謝されてフェノバルビタールに変わる。 基本的にはフェノバルビタールと同じ薬である。 |
犬猫ではフェノバルビタールよりも副作用が強く、 あまり好まれていない。 |
作用も副作用もフェノバルビタールと同じとする文献もある。 | |
D フェニトイン (アレビアチン、 ヒダントール) |
臭化カリウムが取り上げられる前に一時期注目された時期があり、犬でまれに使うが1日3回の投薬が必要なのであまり使わない。 猫では副作用が強く使わない。 |
犬での副作用は、フェノバルビタールと同じくらい。 | あまり良い効果が期待できないとする文献もある。 | |
E クロナゼパム (リボトリール) |
ジアゼパムの弱い版、犬で使うことがある。 | |||
F バルプロ酸 (デパケン) |
大型犬でまれに使うが、1日3回で量が多くその効果もはっきりとは判っていない。 | |||
G ゾニサミド (エクセグラン) |
日本で開発され国内での歴史は10年以上ある。米国では2004年頃より犬において効能が論文報告されている。従来のてんかん薬では効果のない難治性てんかんに使用したり、 また初期てんかんに始めから投与していくこともある。 犬猫ともに有効で、副作用は少ないがちょっと高価。2回/日投与。 |
あえてあげれば食欲不振になる犬がまれにいる。また体質によっては結石ができやすくなることもある。肝臓で排出されるが肝機能に障害がなければ問題ない。使用の歴史が他の薬剤にくらべ浅いため、副作用か発現していない可能性もある。 | フェノバルビタールから変更する場合は効果発現まで2ヶ月ぐらい時間がかかる。血中濃度測定も可能。 | |
H ガバペンチン (ガバペン) |
2006年9月にようやく日本で承認された新しい抗てんかん薬。 (欧米では数年前から使われている) 副作用は殆ど無いが、効いている時間がすごく短く基本的には1日3回以上の投薬が必要。 また他の抗てんかん薬と一緒に用いられるのが普通で、単独での使用は推奨されていない。 |
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I タウリン | 抗てんかん薬ではなく、猫の発作に有効な場合がある。 | |||
J ビタミンB6 | 抗てんかん薬ではなく直接の効果はないが、フェノバルビタール、ゾミサミド、メラトニンとの併用で単独使用より良いのではという意見もある。 | ビタミン剤であるため、副作用の心配はとても低い。 |